職員が1人辞めるたびに、基準を満たせているか計算し直していませんか?生活介護の人員配置は利用者の数え方に独自のルールがあり、在籍している人数だけでは判断できません。
必要な職員数は、前年度の平均利用者数を平均障害支援区分に応じた比率で割って決まります。この記事では、職種ごとの要件と計算の手順を示したうえで、人員配置体制加算の取り方と減算を避ける実務まで解説します。
この記事を読めば、自事業所に必要な人数をご自身で計算でき、欠員が出たときの動き方まで判断できるようになるでしょう。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
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生活介護の人員配置基準とは
生活介護の人員配置は、障害者総合支援法に基づく省令が最低基準を定めています。この基準を割ると減算の対象になり、指定の取消しにつながる場合もあります。
これに対して、基準を上回る配置を評価する加算もあり、2つの基準は数字も意味も別物です。ここでは、省令が定める配置基準と、比率を決める平均障害支援区分、加算基準との違いを整理しましょう。
省令が定める配置基準
生活介護の人員配置は、指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)の第78条が定めています。省令が求めるのは、医師・看護職員・生活支援員・サービス管理責任者の配置です。
機能訓練を実施する場合は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかの配置も必要になります。管理者の規定は第78条ではなく、第51条の準用です。
このうち看護職員・理学療法士等・生活支援員の総数は、サービス提供の単位ごとに常勤換算方法で算定します。サービス管理責任者は事業所ごと、医師は必要な数の配置です。
生活介護の最低定員は20名で、多機能型事業所や従たる事業所として設置する場合は6名です。複数の単位を設けているなら、単位ごとに基準を満たしているかを点検しておきましょう。
平均障害支援区分で決まる配置比率
必要な職員数は、利用者の平均障害支援区分によって3段階に分かれます。区分が高いほど必要な支援量が大きくなるため、より手厚い配置が求められます。
必要数の計算式は、次のとおりです。
- 区分4未満:利用者数÷6以上
- 区分4以上5未満:利用者数÷5以上
- 区分5以上:利用者数÷3以上
この比率が適用されるのは、看護職員、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士及び生活支援員の総数です。生活支援員だけで計算すると必要数を過小に見積もるため、直接処遇にあたる職員をまとめて数えます。
自事業所の平均障害支援区分がどの段階にあるかを確かめ、比率を取り違えないようにしましょう。
指定基準と加算基準の違い
人員配置には、性格の異なる2つの比率があります。1つは今見た6対1・5対1・3対1で、これは割ると減算になる最低ラインです。
もう1つは、生活介護の人員配置体制加算で使う1.5対1・1.7対1・2対1・2.5対1の比率です。こちらは最低ラインを上回って手厚く配置した場合に、報酬が上乗せされます。
同じ「人員配置」でも、前者は守る基準、後者は取りにいく基準です。数字だけを見て混同すると、加算の要件を満たしているつもりで最低基準を割る事態も起こりえます。
自事業所の配置がどちらの基準に対して何人分あるのかを、分けて把握しましょう。
生活介護の人員配置に必要な職種
生活介護には、管理者・サービス管理責任者・生活支援員・看護職員・医師の配置が求められます。機能訓練を実施する場合は、理学療法士等も必要です。
職種ごとに資格要件と常勤の条件が異なるため、ポイントを押さえておく必要があります。ここでは、5つの職種の要件を順に解説します。
管理者の要件
生活介護の管理者には資格要件があります。社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、社会福祉事業に2年以上従事した者、またはこれらと同等以上の能力を有すると認められる者が対象です。
社会福祉法第19条第1項各号には、社会福祉士や精神保健福祉士、指定の養成機関を修了した者などが含まれます。「管理者に資格は不要」と説明する記事もありますが、生活介護では誤りです。
管理者は専従であれば常勤・非常勤を問いませんが、管理業務に支障が出ない勤務時間を確保する必要があります。ほかの職種との兼務が可能かどうかは、このあと解説します。
自事業所の管理者が要件を満たしているか、指定申請時の書類で確かめておきましょう。
サービス管理責任者の要件
サービス管理責任者は、利用者60人以下なら1人以上が必要です。61人以上なら、60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上を置きます。
このうち1人以上は常勤でなければなりません。2人目以降は非常勤でもかまいませんが、兼務の可否は指定権者によって運用が分かれます。
資格の要件は、相談支援業務や直接支援業務での実務経験と研修修了の両方です。研修は相談支援従事者初任者研修・基礎研修・実践研修の3つで、実践研修の修了後も5年ごとに更新研修を受け続けます。
更新研修の期限が切れた職員は、基礎研修修了者として扱われます。ほかに有資格者がいなければ欠如減算につながるため、修了年月を職員ごとに管理しましょう。
関連記事:サービス管理責任者(サビ管)の最短ルートは?実務経験や受講手順も解説
生活支援員の要件
生活支援員は、サービス提供の単位ごとに1人以上を配置します。このうち1人以上は常勤でなければなりません。
生活支援員には、管理者やサービス管理責任者のような資格要件はありません。無資格でも従事できるため、採用の幅を広げられます。
生活支援員を含む従業者は原則として専従で、兼務が認められるのは利用者の支援に支障がない場合だけです。人員配置基準の計算では、生活支援員は看護職員や理学療法士等と合わせた総数で数えます。
生活支援員だけを増やしても、看護職員が欠けていれば基準を満たせません。採用の段階から、常勤と非常勤の内訳に加えて職種の組み合わせも決めておきましょう。
医師・看護職員・理学療法士等の要件
医師は、利用者の日常生活上の健康管理と療養上の指導に必要な数を配置します。ただし、看護師等が健康状態の把握や健康相談を実施し、必要に応じて医療機関への通院で対応できる場合は、配置しない選択も可能です。
医師を置かない選択をするなら、1日につき12単位の減算を受けたうえで運営します。看護職員は、サービス提供の単位ごとに1人以上が必要です。保健師・看護師・准看護師のいずれかが該当します。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が必要になるのは、機能訓練を実施する場合です。確保が難しいときは、訓練を実施できる看護師等を機能訓練指導員として置く方法もあります。
生活介護の人員配置の計算方法
必要な職員数は、利用者数と平均障害支援区分をもとに計算します。ただし、生活介護の利用者数の数え方には、ほかのサービスにない独自のルールがあります。
手順を1つずつ追えば、ご自身の事業所に必要な人数を出せるようになるでしょう。ここでは、前年度の平均利用者数から常勤換算までの流れを順に見ていきます。
前年度の平均利用者数を出す
計算の起点は、前年度の平均利用者数です。年度は4月1日から翌年3月31日までを指し、この期間の利用者延べ数を開所日数で割って求めます。
延べ数は実人数ではなく、利用者が通所した日数を積み上げた数です。平均利用者数の小数点第2位以下は切り上げます。
たとえば、延べ4,200人を開所日数245日で割ると17.14…になり、17.2人として扱う計算です。定員の変更がない限り前年度の実績で年度当初に確定するため、年度の途中で利用者が増減しても、その年度の計算には反映しません。
増床や減床があった場合の扱いは後述します。まずは前年度の実績記録から、延べ利用者数と開所日数を拾い出しましょう。
所要時間に応じて人数を換算する
生活介護の平均利用者数には、ほかのサービスにない独自の重み付けがあります。利用者を一律に1人と数えるのではなく、その日に算定した報酬の所要時間区分に応じて人数を割り引きます。
割り引きの対象は、次の区分です。
- 3時間未満:0.5人として計算
- 3時間以上5時間未満:0.5人として計算
- 5時間以上7時間未満:0.75人として計算
7時間以上の区分に割り引きはなく、そのまま1人として数えます。短時間利用が多い事業所ほど計算上の利用者数は実人数より小さくなるため、単純な1日平均で計算すると必要な職員数を多く見積もってしまいます。
自事業所の利用実績を、所要時間区分ごとに分けて集計しましょう。
区分に応じた必要数を求める
平均障害支援区分は、利用者の区分に応じた点数を足して人数で割った値です。区分2を2点、区分3を3点と数え、区分6までを合計して利用者の数で割ります。
自立訓練・就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援の利用者は、この算定から除きます。算定の対象になるのは、前年度の利用者です。
出た平均値が4未満なら6、4以上5未満なら5、5以上なら3で前年度の平均利用者数を割ります。平均値がちょうど4.0なら5、ちょうど5.0なら3を使います。
この結果が、常勤換算で確保すべき直接処遇職員の数です。多機能型事業所では対象の範囲を誤りやすいため、前年度に生活介護を利用した人だけを抜き出して計算しましょう。
兼務・休職の職員を換算する
職員が複数の職務を兼ねている場合、常勤換算への算入は兼務のしかたで変わります。時間を分けて別々の事業所で働くなら、それぞれの勤務時間を算入できます。
これに対して、常勤専従の職員が空き時間にほかの職種を手伝う場合は、算入できないのが原則です。利用定員20人未満なら認める指定権者もあります。管理者が同時並行で生活支援員を兼ねるときは、従事した時間分を算入できます。
産休や育休で1か月以上勤務しない職員は、常勤換算に含められないのが一般的な扱いです。勤務時間を0として氏名を記載し、員数には含めてよいとする指定権者もあります。
勤務形態一覧表を作る前に、職員ごとの兼務の形態を整理しておきましょう。
関連記事:運営指導で引っかかるとどうなる?障がい者GHの対策を解説
常勤換算で実際の人数を数える
常勤換算は、非常勤職員の勤務時間が常勤職員何人分にあたるかを換算する方法です。常勤職員は1.0人として扱い、非常勤職員は勤務延べ時間数を常勤職員が勤務すべき時間数で割って求めます。
常勤職員が勤務すべき時間数は、事業所の就業規則で定めた時間です。この時間が週32時間を下回る場合は、週32時間を基本として計算します。
常勤が週40時間・月168時間の事業所で考えてみましょう。非常勤職員が月152時間働いた場合、152÷168=0.904…となり、小数点以下第2位を切り捨てて0.9人と数えます。
常勤として雇用している職員は、シフトの都合で勤務時間が短い月でも1.0として扱いましょう。
定員20名の事業所で計算する
ここまでの手順を、定員20名の事業所に当てはめます。前年度の平均利用者数を18.0人、平均障害支援区分を4.5と仮定します。
平均障害支援区分4.5は「4以上5未満」にあたるため、18.0÷5=3.6人が必要な直接処遇職員の数です。常勤換算で3.6人以上の看護職員・理学療法士等・生活支援員を確保すれば、指定基準を満たします。
内訳は、常勤の生活支援員2人(2.0)と常勤の看護職員1人(1.0)、非常勤の生活支援員1人(0.6)を合わせて3.6人とする組み方です。これとは別に、管理者とサービス管理責任者、そして健康管理を担う医師の配置が必要です。
自事業所の数字を当てはめ、必要数と現在の配置を照らし合わせましょう。
生活介護で人員配置を見直す場面
前年度の実績で確定した人数は、年度を通じて使い続けるのが原則です。ただし、新しく開設した事業所や定員を変えた事業所では、別の計算方法に切り替わります。
どの場面でどの計算を使うかを知らないと、必要数を誤ったまま運営を続けてしまいます。ここでは、計算方法が切り替わる4つの場面を確認しましょう。
新規開設から6か月未満の場合
新しく指定を受けた事業所には前年度の実績がないため、利用定員の90%を利用者の数として計算します。定員20名なら18人が基礎の数字です。
生活介護では、ここにさらに所要時間の重み付けが加わります。サービス提供の所要時間の見込みに応じて、2分の1または4分の3を乗じた数が利用者の数です。
4時間程度の利用を見込むなら、18人×0.5=9人を利用者の数として扱います。平均障害支援区分が4.5なら9÷5=1.8人が必要な直接処遇職員の数です。
見込みを立てにくい合理的な理由がある場合は、ほかの適切な方法で利用者の数を推定します。開設前の段階で見込みを立て、人件費の試算に反映しましょう。
開設6か月以上1年未満の場合
開設から6か月が過ぎると、実績による計算に切り替わります。直近6か月の全利用者の延べ数に所要時間に応じた2分の1または4分の3を乗じ、その6か月間の開所日数で割った数が利用者の数です。
算定期間は、毎月1か月ずつずれていきます。11月に指定を受けた事業所なら、翌年5月の計算は11月から4月まで、6月の計算は12月から5月までの実績が対象です。
開設から1年が過ぎると、直近1年間の実績で同じように計算します。前年4月から3月までの実績がそろった時点で、はじめて前年度の平均利用者数による計算に移ります。
毎月の実績集計を欠かさず、切り替えの時期を把握しておきましょう。
増床・減床があった場合
定員を増やした場合は、増床前の定員分と増床分を別々に計算して合算します。増床前の定員には前年度の平均利用者数を使い、増床分には定員の90%を当てはめる方法です。
たとえば、前年度の平均利用者数が18.0人の事業所が5名分を増床し、4時間程度の利用を見込むなら、18.0+(5×0.9×0.5)=20.25人が計算上の利用者数です。増床分にも所要時間の重み付けが掛かります。
定員を減らした場合は、減床後の実績が3か月以上あれば、その3か月の利用者数を開所日数で割った数が基礎です。3か月に満たない期間は、従来の計算を続けます。
定員変更の届出と合わせて、人員配置の再計算も同じタイミングで実施しましょう。
平均障害支援区分が変わった場合
平均障害支援区分は、前年度の利用者を対象に算定します。人員配置の基礎となる利用者の数も前年度の平均値で年度当初に固定されるため、年度の途中で新しい利用者が加わっても、その年度の配置比率は変わりません。
人員配置の計算に用いる数値は年度当初に固定されるため、年度途中の変動が反映されるのは原則として翌年度です。
ただし、利用者の状態が大きく変わり、支援に必要な体制が実態と合わなくなる場面もあります。年度途中の扱いは個別の事情によって判断が分かれるため、指定権者に確認しましょう。
新しい利用者を受け入れる段階で、翌年度の区分と必要数への影響を試算しておくと安心です。
生活介護の人員配置体制加算
生活介護の人員配置体制加算は、指定基準を上回って職員を配置した場合に算定できる加算です。共同生活援助にも同じ名前の加算がありますが、要件も単位数も別物です。
配置の手厚さと利用者の障害支援区分がそろって初めて要件を満たすため、片方だけでは算定できません。ここでは、区分ごとの要件と単位数、届出の進め方を紹介します。
加算Ⅰ〜Ⅳの配置比率と単位数
生活介護の人員配置体制加算は、直接処遇職員の配置比率に応じて4区分に分かれます。配置が手厚いほど高い単位数を算定できます。
区分ごとの要件と単位数は、次のとおりです。
| 区分 | 配置比率 | 定員20人以下 | 21〜60人 | 61人以上 |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ | 1.5対1 | 321単位 | 263単位 | 245単位 |
| Ⅱ | 1.7対1 | 265単位 | 212単位 | 197単位 |
| Ⅲ | 2対1 | 181単位 | 136単位 | 125単位 |
| Ⅳ | 2.5対1 | 51単位 | 38単位 | 33単位 |
いずれも1日につき算定する単位数です。Ⅰ〜Ⅳのうち算定できるのは1つだけで、利用者全員について算定します。
前年度の平均利用者数を自事業所の常勤換算数で割ると、どの区分に届くかを判定できます。値が1.5以下なら加算Ⅰ、1.7以下ならⅡ、2以下ならⅢ、2.5以下ならⅣの水準です。
障害支援区分による算定要件
配置比率を満たしても、それだけでは加算を算定できません。加算Ⅰと加算Ⅱは、障害支援区分5または6に該当する利用者が全体の60%以上であることが条件です。
加算Ⅲの場合は50%以上が要件です。加算Ⅳには区分の要件がなく、配置比率の2.5対1だけで算定できます。
区分5・6に準ずる利用者も割合に含められる扱いです。割合は利用者全体に占める人数で判定するため、区分4以下の利用者が増えると要件を割ります。
利用者の入れ替わりで算定できる区分も動くため、年度ごとに構成を確認する必要があります。配置比率と区分の割合の両方を並べて、どの区分まで届くかを判定しましょう。
加算を取るための届出
生活介護の人員配置体制加算の届出には、ほかの加算と異なる扱いがあります。通常の加算は算定を始める月の前月15日までに届け出て、翌月1日からの算定です。
ただし、開設からまもない事業所が直近6か月または1年の実績をもとに届け出る場合など、当該月の1日から算定を認める扱いもあります。前年度の実績で区分が変わる場合の届出は、年度当初にまとめて提出します。
期限や運用は指定権者ごとに異なり、大阪・岸和田市広域では令和8年度(2026年度)の期限を4月15日としていました。変更がない場合に届出が要るかどうかも指定権者によって分かれるため、毎年度の案内を確かめておきましょう。
要件を満たさなくなった場合は、その事象が発生した月から算定できません。取り下げの変更届も速やかに提出しましょう。
生活介護の人員配置に関わる減算
人員配置の基準を満たせなくなると、報酬が減額されます。減算の種類は職種によって分かれ、減算率も継続期間で変わる仕組みです。
どの減算がいつから始まるかを知っておけば、欠員が出たときに損失の見通しを立てられます。ここでは、人員配置に関わる3つの減算を確認しましょう。
サービス提供職員欠如減算
サービス提供職員欠如減算の対象は、生活支援員・看護職員・理学療法士等の員数が基準を満たさない場合です。国の通知では人員欠如減算と総称され、サービス管理責任者の欠如による減算と合わせて2つの類型が置かれています。
減算率は継続期間で変わります。減算が適用される月から3か月未満は所定単位数の70%、連続して3か月以上になると50%です。
減算がかかるのは各種加算を計算する前の単位数です。基本報酬が3割から5割削られるため、経営への影響は大きくなります。
欠員が長引くほど損失が膨らむため、3か月を1つの区切りとして採用計画を立てましょう。
サービス管理責任者欠如減算
サービス管理責任者が欠けた場合は、別の減算が適用されます。減算率の考え方は同じですが、期間の区切りが5か月と長く設定されています。
減算が適用される月から5か月未満は所定単位数の70%、連続して5か月以上になると50%です。生活支援員等の3か月と比べて、区切りが2か月分長く設定されています。
やむを得ない事由で欠如した場合は、実務経験者をサービス管理責任者とみなして配置する措置も可能です。この措置は欠如時から1年間で、一定の要件を満たせば最長2年間まで延長できます。
みなし配置を使う場合は、要件を満たすかどうかを指定権者へ問い合わせましょう。
定員超過利用減算
定員超過利用減算は、利用者の受け入れが定員を大きく超えた場合に適用されます。判定には1日単位と3か月単位の2つの基準があります。
定員50人以下の事業所では、1日あたりの利用実績が利用定員の150%を超えると対象です。定員51人以上の場合は、定員から50人を引いた数に125%を掛けた数に75を加えた数が上限になります。
3か月単位では、過去3か月の利用者の延べ数が利用定員に開所日数を掛けた数の125%を超えると対象です。定員11人以下の事業所には、別の判定式が設けられています。
恒常的に定員を超える状態が続くなら、定員変更の手続きを進めましょう。
生活介護で人員配置が欠けた場合の対応
職員の退職や休職で配置が基準を割る事態は、どの事業所にも起こりえます。減算のペナルティを知っていても、実際に欠員が出たときに何から動けばよいかは判断しにくいものです。
令和8年度(2026年度)の改定では、一定の条件を満たせば減算の適用を猶予する規定も新設されました。ここでは、欠員が判明した時点から順に、進めるべき手続きを示します。
減算が始まる時期を確かめる
減算が始まる時期は、欠けた人数によって変わります。必要な員数から1割を超えて減った場合はその翌月から、1割の範囲内で減った場合は翌々月からの適用です。
1割を超えるかどうかは、常勤換算後の必要数と実際の配置数を突き合わせて判定します。1割の範囲内であれば、翌月末日までに基準を満たせば減算を受けずに済みます。
常勤・専従など員数以外の要件を満たさなくなった場合も、翌々月からの適用です。常勤の生活支援員が非常勤だけになった場合が該当し、員数そのものは足りていても減算の対象です。
不足が判明した日を起点に、いつから減算が始まるかを先に確定させましょう。
指定権者へ変更届を出す
管理者やサービス管理責任者が交代した場合は、指定権者への届出が必要です。障害者総合支援法第46条により、変更があった日から原則10日以内に届け出ます。
届出の対象は、管理者やサービス管理責任者の交代と、運営規程に定めた従業者の職種・員数・職務の内容の変更です。勤務体制や勤務形態の変更そのものは、届出事項に含まれていません。
10日以内の期限は短いため、退職の申し出を受けた段階で書類の準備を始めるとよいでしょう。職員の交代を年1回まとめての届出でよいとする指定権者や、運営規程を「○人以上」と記載していれば届出不要とする指定権者もあります。
減算の判定と届出は別の手続きです。減算になるかどうかにかかわらず、変更届は期限内に提出しましょう。
関連記事:指定権者とは?障がい福祉サービス事業所の指定要件や申請の流れを解説
令和8年度の猶予規定を使う
令和8年度(2026年度)の改定で、サービス提供職員欠如減算に猶予規定が新設されました。突発的で想定が難しい事情により、必要な員数から1割の範囲内で減った場合が対象です。
要件を満たせば、欠員が発生した月の翌々月までは減算の適用を猶予されます。ただし、利用できるのは1年に1回までです。
猶予を受けるには、次の4つをすべて満たす必要があります。
- ハローワーク等の無料職業紹介事業の活用
- 民間事業者は適正認定事業者を含む
- 自社サイトでの採用情報の公表
- 職員に偏らない労働時間の管理
3つ目は、自社のウェブサイトがない場合まで求められるものではありません。欠員が出た時点で、採用活動の記録を残しておきましょう。
求人票を添えて報告する
猶予を受けるには、事前の報告が必要です。職員確保の取り組みと、一時的に職員を確保できないやむを得ない事情を別紙様式に記載し、都道府県知事へ報告します。
報告の期限は、欠員が発生した月の翌月までです。この期限を過ぎると猶予を受けられないため、変更届と同じタイミングで準備を進めるとよいでしょう。
報告には、その時点で有効な求人票の写しを添付します。求人を出していない状態では要件を満たせないため、欠員が見込まれた段階で求人を公開しておく判断も必要です。
猶予規定は新しい仕組みのため、様式や運用の細部は指定権者へ問い合わせておくと安心です。
令和8年度改定後の生活介護の人員配置
令和8年度(2026年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、処遇改善加算の拡充が令和8年6月1日から、就労移行支援体制加算の見直しが令和8年4月1日から施行されています。改定の内容を確認しないまま古い情報で運営していると、算定できる加算を取り逃す可能性があります。
生活介護の人員配置については、変わった部分と変わらない部分がはっきり分かれました。ここでは、改定が自事業所に与える影響を3点に整理しましょう。
変更がなかった基準と加算
令和8年度(2026年度)の改定で、生活介護の人員配置基準・基本報酬・人員配置体制加算はいずれも変更されていません。配置比率も単位数も、改定前の内容がそのまま続いています。
改定を告示した新旧対照表でも、生活介護の項目は基本報酬から人員配置体制加算までが改正の対象外でした。報酬告示のうち生活介護に関わる改正は、処遇改善加算と就労移行支援体制加算の2項目です。
このほか、留意事項通知の改正で人員欠如減算の特例が新設されています。つまり、人員配置の計算方法や必要数は、これまでどおりの考え方で問題ありません。
古い情報と新しい情報が混在する時期のため、どの部分が変わっていないのかも押さえておくと判断を誤らずに済むでしょう。
処遇改善加算率の引き上げ幅
令和8年度(2026年度)の改定で変わったのは、福祉・介護職員等処遇改善加算です。対象が福祉・介護職員から障がい福祉の従事者全体へ広がり、加算率も引き上げられました。
引き上げ幅は、月額1.0万円(3.3%)の賃上げに相当します。生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員には、さらに月額0.3万円(1.0%)が上乗せされます。定期昇給分0.6万円を含めると、最大で月額1.9万円(6.3%)の賃上げにあたる措置です。
生活介護の加算率は、次のとおりです。
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| Ⅰイ | 1000分の93 |
| Ⅰロ | 1000分の97 |
| Ⅱイ | 1000分の92 |
| Ⅱロ | 1000分の96 |
| Ⅲ | 1000分の79 |
| Ⅳ | 1000分の67 |
処遇改善加算は、区分ロが新設されて6区分になりました。自事業所がどの区分を算定できるかを確かめましょう。
新規指定の報酬引き下げの対象外
令和8年度(2026年度)の改定では、新規に指定を受ける事業所の基本報酬を引き下げる特例も設けられました。ただし、この特例の対象は4つのサービスに限られ、生活介護は含まれていません。
対象になるのは、就労継続支援B型・共同生活援助(介護サービス包括型と日中サービス支援型)・児童発達支援・放課後等デイサービスです。しかも令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所に限られ、既存の事業所は従前どおりの単価が続きます。
多機能型で複数のサービスを運営する事業所では、サービスごとに扱いが分かれます。生活介護と就労継続支援B型を新たに併設するなら、B型側だけが特例の対象です。
開設を検討している段階なら、どのサービスが対象になるかを整理して収支計画に反映しましょう。
関連記事:就労継続支援B型の報酬単価表【令和8年度】加算・減算も解説
生活介護の人員配置でよくある質問
人員配置の実務では、兼務の可否や欠員時の扱いで判断に迷う場面が出てきます。基準の条文だけでは読み取りにくい部分も残るでしょう。
最後に、現場からよく出る3つの質問を解説します。
管理者はほかの職種と兼務できる?
管理者は、管理上支障がなければほかの職種と兼務できます。同じ事業所のサービス管理責任者や従業者のほか、ほかの事業所や施設の職務も対象です。
管理者とサービス管理責任者を1人が兼ねる場合、常勤で双方の職務を続けていれば、その1人で管理者1人とサービス管理責任者1人の条件を満たせます。ただし、利用者60人以下の事業所に限られます。
国は、兼務できる職種や事業所数に一律の制限を設けていません。ただし、管理者の責務を果たせる状態が前提です。自治体によっては兼務を1職種までとし、1日の従事時間の半分以上を管理業務に充てるよう運用基準を示しています。
看護師がいないと減算になる?
看護職員はサービス提供の単位ごとに1人以上の配置が必要なため、欠けた状態が続けばサービス提供職員欠如減算の対象になります。看護職員だけを対象にした専用の減算名はありませんが、単位ごとに1人以上の配置要件を満たさない状態は欠如減算の対象です。
減算率は生活支援員が欠けた場合と同じく、3か月未満で所定単位数の70%、連続して3か月以上では50%です。看護職員は生活支援員や理学療法士等と合わせた総数でも数えるため、欠員は必要数の判定にも響きます。
これに対して、医師には配置しない選択も認められる扱いです。看護師等による健康管理と、必要に応じた通院での対応がそろえば、1日につき12単位の減算を受けたうえで運営できます。
生活支援員に常勤要件はある?
生活支援員は、配置する人数のうち1人以上を常勤にする必要があります。常勤にあたるかどうかは、事業所が就業規則で定めた常勤職員の勤務時間に達しているかで決まります。
判定に使うのは雇用契約上の呼び方ではなく、実際の勤務時間です。この勤務時間が週32時間を下回る場合は、週32時間が判定の基準です。
育児や介護の短時間勤務制度を使う職員は、利用者の処遇に支障がない体制が整っていれば、週30時間以上の勤務で常勤として扱えます。常勤の生活支援員が1人だけの事業所では、その職員が退職すると常勤要件を満たせなくなります。
常勤要件を割ると報酬が減額されるため、余裕をもった体制を組みましょう。
生活介護の人員配置について解説しました
生活介護の人員配置は、前年度の平均利用者数と平均障害支援区分をもとに必要数を計算します。所要時間による重み付けや常勤換算の扱いなど、このサービスだけの独自ルールを押さえておく必要があります。
まずは前年度の実績から平均利用者数を出し、現在の配置と突き合わせましょう。指定基準を満たしたうえで余力があれば、人員配置体制加算の区分に届くかも確認できます。
欠員が出たときは、減算の開始時期を確かめ、原則10日以内の変更届と令和8年度に新設された猶予規定の要件を並行して進めましょう。
配置の判断や届出の進め方に迷う場合は『S-STEP』へご相談いただければ、基準の確認から体制づくりまでサポートします。
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参考サイト
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(新旧対照表)|厚生労働省
- 厚生労働大臣が定める平均障害支援区分の算定方法|厚生労働省
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要|厚生労働省
- 障害福祉サービス費等の算定に関する留意事項について|厚生労働省
- 障害福祉サービス費等の算定に関する留意事項について(令和8年度改正・新旧対照表)|厚生労働省
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について|厚生労働省
- 障害福祉サービス等報酬改定に伴う告示の一部改正(新旧対照表)|厚生労働省
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について|こども家庭庁
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&AVOL.1|厚生労働省
- サービス管理責任者等に関する告示の改正について|こども家庭庁・厚生労働省
- 障害福祉サービス事業者等指定申請・指定基準の手引き|名古屋市
- Ⅱ指定基準と最低基準|東京都福祉局
- 令和6年度報酬改定に関するQ&AVol.5(施設入所支援、生活介護、自立訓練)|東京都福祉局
- 人員基準における両立支援への配慮等【全サービス】|香川県
- 常勤換算方法及び勤務形態一覧表について|豊橋市
- 平均利用者数の算定(考え方)について|松山市
- 各種加算の届出について(障害事業者担当)|岸和田市
- 介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出について|北海道
- 障害者総合支援法に基づく変更届出|沖縄県
- 【変更届】障害福祉サービス事業者、障害者支援施設、相談支援事業者等の指定に係る変更届について|京都市