障がい者グループホームは何歳まで利用できる?年齢制限から65歳問題まで解説

障がい者グループホームは何歳まで利用できる?年齢制限から65歳問題まで解説

障がい者の高齢化が進む中、グループホームの年齢制限や「65歳問題」への理解は、利用者の安心と事業の安定に欠かせません。

この記事では、障がい者グループホームが何歳まで利用できるのか?65歳を迎えた利用者がサービスを継続利用できるのか?といった問題について詳しく解説します。また、障がい福祉サービスと介護保険サービス、そして65歳問題を解決するための施策についても触れていきます。

本記事を通じて、障がい者グループホーム経営における重要な課題を理解し、より適切なサービス提供と事業展開の判断に役立てていただけるでしょう。

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障がい者グループホームは何歳まで利用できる?

ここでは、障がい者グループホームの年齢制限について、以下のポイントを解説します。

  • 障がい者グループホームの年齢制限の下限
  • 障がい者グループホームの年齢制限の上限

それぞれの年齢制限について、詳しく見ていきましょう。

障がい者グループホームの年齢制限の下限は何歳から?

障がい者グループホームの利用開始年齢は、一般的に18歳からとされています。これは、成人としての自立生活支援という目的に沿ったものです。しかし、例外的なケースも存在します。

市町村が適切と判断した場合、15歳以上であれば条件付きで入居が認められることがあります。

ただし、18歳未満の利用者は非常にまれです。これは、各市町村で条件が異なり、明確な基準が存在しないためです。実際の利用にあたっては、児童相談所と市町村の障がい福祉課が個々の状況を慎重に検討し、判断を下しています。

障がい者グループホームの利用を検討する際は、まず地域の障がい福祉課に相談し、個別の状況に応じた適切な選択肢を探っていきましょう。

障がい者グループホームの年齢制限の上限は何歳まで?

精神障がいや知的障がいのある方は、年齢の上限なくグループホームを利用できます。しかし、身体障がいのある方は注意が必要です。原則として65歳未満まで、または65歳になる前に障がい福祉サービスを利用していた場合に限られます。

65歳以上になると、原則として介護保険サービスへの移行が求められます。ただし、介護保険では障がい者グループホームに相当するサービスがないため、多くの場合、継続利用が可能です。

一方で、グループホーム内で受けていた居宅介護サービスが訪問介護に移行するなど、一部のサービス内容が変更になる可能性があります。また、介護保険サービスで対応できない障がい特性に応じた支援については、引き続き障がい福祉サービスを利用できます。

高齢化に伴う課題も顕在化しています。例えば、医療的ケアの必要性が高まる中、グループホームでの看取りをどうするかという問題が浮上しています。

障がい者グループホームの利用年齢について不明点がある場合は、お住まいの市町村に確認し、個々の状況に応じた最適なサービスを選択していきましょう。

障がい者グループホームにおける65歳問題とは?

障がい者グループホームを利用している方々にとって、65歳という年齢は重要な転換点となります。いわゆる「65歳問題」は、障がいのある方々の生活に大きな影響を与える課題です。ここでは、65歳問題について以下のポイントを解説します。

  • 65歳問題の概要と背景
  • 65歳問題の具体的な問題点
  • 障がい福祉サービスと介護保険サービス

それぞれの項目について、詳しく説明していきましょう。

65歳問題の概要と背景

65歳問題とは、障がいのある方が65歳を迎えたことで、それまで利用していた障がい福祉サービスが受けられなくなってしまう問題を指します。この問題の背景には、障害者総合支援法第7条の規定があります。

この法律では、他の法律で提供される支援がある場合、重複を避けるため障害者総合支援法での自立支援給付は行われないと定めています。つまり、介護保険で同様のサービスが提供される場合、そちらを利用することが求められるのです。

65歳問題の本質は、障がい者の生活の連続性が損なわれることにあります。この問題について理解を深め、適切な対応を考えていきましょう。

参考:e-Gov法令検索『障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

65歳問題の具体的な問題点

65歳問題には、いくつかの問題点があります。

まず、利用できるサービスの内容や範囲が変わることが挙げられます。障害福祉サービスでは、個々の障がい特性に応じた細やかな支援が受けられますが、介護保険サービスではそれが難しくなる場合があります。例えば、就労継続支援や行動援護といったサービスは、介護保険には存在しません。

次に、利用者負担の増加があります。障害福祉サービスでは「応能負担」の原則があり、低所得者の負担が軽減されています。一方、介護保険サービスは「応益負担」が原則で、利用したサービスに応じて費用を負担しなければなりません。この変更により、経済的な理由でサービスの利用を控えざるを得ないケースも出てきています。

さらに、サービス利用計画の作成者が変わることも問題となります。障害福祉サービスでは相談支援専門員が、介護保険ではケアマネジャーが計画を作成します。支援者の変更により、これまでの細やかな支援が受けられなくなる可能性があります。

これらの問題点を理解し、65歳を迎える前に必要な準備や対策を考えていきましょう。

障害福祉サービスと介護保険サービス

障害福祉サービスは、主に18歳以上の障がいのある方の自立と社会参加を支援するサービスです。一方、介護保険サービスは、65歳以上の高齢者や特定の病気を持つ40歳以上の方を対象に、加齢や病気による生活の困難をサポートするサービスです。

両者は対象者も目的も大きく異なります。

以下で、それぞれの制度について詳しく解説します。

障害福祉サービスとは

障害福祉サービスは、障害者総合支援法に基づいて提供される、障がいのある方々のための包括的な支援サービスです。このサービスは、障がいの種類(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害など)や程度に関わらず、個々のニーズに応じて利用できます。

主なサービスには以下のようなものがあります。

  • 居宅介護(ホームヘルプ):自宅での入浴、排せつ、食事の介護等
  • 重度訪問介護:重度の肢体不自由者に対する、長時間にわたる介護
  • 同行援護:視覚障害者の外出時の支援
  • 行動援護:知的・精神障害により行動が困難な方の外出支援
  • 重度障害者等包括支援:特に重度の障害がある方への包括的な支援
  • 短期入所(ショートステイ):介護者の休息のための一時的な入所
  • 生活介護:常時介護を必要とする方への日中活動の場の提供
  • 就労移行支援:一般就労を目指す方への訓練
  • 就労継続支援(A型・B型):一般企業での就労が困難な方への就労機会の提供
  • グループホーム:共同生活を行う住居での相談や日常生活上の援助

サービスの利用には、市町村に申請を行い、障害支援区分の認定を受ける必要があります。障害支援区分は1~6に分けられ、数字が大きいほど支援の必要度が高いことを示します。

利用者負担は原則として応能負担で、所得に応じて負担額が決まります。生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯の場合、利用者負担はありません。

参考:厚生労働省『障害福祉サービスの内容

介護保険サービスとは

介護保険サービスは、原則65歳以上の方を対象とした社会保険制度です。主に高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして、2000年に導入されました。

対象者は以下の2つに分類されます。

  • 第1号被保険者:65歳以上の全ての方
  • 第2号被保険者:40歳から64歳までの医療保険加入者

サービスを利用するには、市区町村に申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。認定は以下の7段階に分かれています。

  • 要支援1・2:日常生活に一部支援が必要な状態
  • 要介護1~5:日常生活に介護が必要な状態(数字が大きいほど介護の必要度が高い)

主なサービスには以下のようなものがあります。

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス):自宅での身体介護や生活援助
  • 訪問看護:看護師等による療養上の世話や診療の補助
  • 通所介護(デイサービス):日帰りでの入浴、食事、機能訓練等
  • 短期入所生活介護(ショートステイ):施設への短期間の宿泊
  • 特別養護老人ホーム:常時介護が必要な方の生活施設
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症の方のための共同生活住居

サービスの利用には、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて行います。利用者負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割となります。また、要介護度ごとに利用できるサービスの上限額(支給限度額)が設定されています。

参考:厚生労働省『介護保険制度について

65歳問題を解決するための施策

65歳問題は、障がいのある方々の生活に大きな影響を与える課題です。しかし、2018年4月からの法改正により、この問題に対する解決策が導入されました。ここでは、65歳問題を解決するための主要な施策について解説します。

  • 新高額障害福祉サービス等給付費
  • 共生型サービス

これらの施策がどのように65歳問題の解決に貢献しているのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。

新高額障害福祉サービス等給付費

新高額障害福祉サービス等給付費は、65歳を機に障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行に伴う金銭的負担を軽減するための制度です。

具体的には、65歳になる前に一定期間、特定の障害福祉サービスを利用していた方が、介護保険移行後に同様のサービスを利用した場合、自己負担額の一部が払い戻されます。

例えば、60歳から65歳までの5年間、居宅介護サービスを利用していた方が、65歳以降に訪問介護サービスを利用する場合などが該当します。

この制度の大きな特徴は、介護保険サービスの利用者負担額が償還払い方式で支給されることです。つまり、一度支払った利用料の一部が後から返還されるのです。これにより、65歳を境に急激な負担増を避けることができます。

ただし、この制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。例えば、65歳到達時に障害支援区分が2以上であることや、市町村民税非課税世帯であることなどが条件となっています。

新高額障害福祉サービス等給付費制度について詳しく知りたい方は、お住まいの市区町村の障害福祉課にお問い合わせください。この制度を上手に活用して、65歳以降も必要なサービスを受け続けられるよう準備しましょう。

参考:江東区『高額障害福祉サービス等給付費・新高額障害福祉サービス等給付費について

共生型サービス

共生型サービスは、介護保険サービス事業所と障害福祉サービス事業所の垣根を低くし、双方のサービスを提供しやすくするための制度です。この制度により、65歳以上になっても、これまで利用していた事業所を継続して利用できるようになりました。

共生型サービスの主な目的は、サービスの継続性を確保することです。例えば、64歳までグループホームを利用していた障がいのある方が、65歳以降も同じグループホームを利用し続けられるようになりました。これにより、環境の急激な変化によるストレスを軽減できます。

この制度の対象となるサービスは、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイです。例えば、これまで障害福祉サービスのデイサービスを利用していた方が、65歳以降も同じ事業所で介護保険のデイサービスを受けられるようになりました。

共生型サービスのもう一つの利点は、地域の実情に応じたサービス提供体制の整備です。人口減少が進む地域でも、一つの事業所が両方のサービスを提供することで、効率的なサービス提供が可能になります。

共生型サービスを提供するには事業所側の準備も必要ですが、共生型サービス創設以前より指定手続きも簡略化されました。

共生型サービスについて詳しく知りたい方は、普段利用している事業所や地域の福祉課にお問い合わせください。65歳以降のサービス利用について、早めに相談し、準備を進めていきましょう。

参考:厚生労働省『福祉・介護 共生型サービス

障がい者グループホームは何歳まで利用できる?【まとめ】

障がい者グループホームは何歳まで利用できるかといった問題は、障がい福祉サービス事業者にとって重要な課題です。グループホームの利用年齢に上限はないものの、65歳を境に介護保険サービスへの移行が求められる「65歳問題」が存在します。この問題に対応するため、新高額障害福祉サービス等給付費や共生型サービスなどの施策が導入されました。

これらの施策により、65歳以降も利用者が必要なサービスを継続して受けられる環境が整いつつあります。また、事業者側にとっても、共生型サービスの導入により、より柔軟なサービス提供が可能になりました。

障がい者グループホームの経営を考えている事業主の皆様は、これらの制度をよく理解し、65歳以降も利用者に寄り添ったサービスを提供できるよう、準備を進めていきましょう。

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