保護者から「もう少し遅くまで預かってほしい」と相談され、延長支援加算を算定できるか調べている方もいるでしょう。令和6年度の改定で制度が変わったため、時間区分との関係や職員配置の要件で判断に迷う場面も出てきます。
延長支援加算の単位数は、就学している子どもの場合、1時間以上2時間未満で1日92単位、2時間以上で1日123単位です。この記事では、単位数の区分と算定要件を整理し、地域単価をかけた算定額の計算例、通所支援計画への書き方、体制届の提出期限までを解説します。
この記事を読めば、自分の事業所が延長支援加算を算定できるかを判断でき、いつ届出を出せば翌月から算定できるのかまで見通せるようになるでしょう。
※本記事は、2026年8月時点(令和8年度報酬改定・令和8年6月施行分を含む)の情報をもとに作成しています。
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放課後等デイサービスの延長支援加算とは
延長支援加算は、基本報酬に含まれる支援時間を超えて預かった際に算定する加算です。令和6年度の報酬改定で基本報酬に時間区分が導入され、評価の基準が「営業時間の前後」から「最長の時間区分を超えた時間」へ切り替わりました。
ここでは、延長支援加算がどのような支援時間を対象とする加算なのか、基本報酬との関係を含めて解説します。
延長支援加算が評価する支援時間
延長支援加算の対象は、通所支援計画(個別支援計画)に定めた発達支援の前後に、預かりニーズへ応えて提供した時間です。放課後等デイサービスの場合、平日は3時間・学校休業日は5時間が基本報酬に含まれる上限にあたり、それを超えた部分に加算の対象となります。
改定前は、運営規程に定める営業時間が8時間以上であれば、その前後の支援時間に加算が付いていました。事業所の開所時間によって算定ができるかどうかが決まる仕組みで、子ども一人ひとりの事情は考慮されにくいものでした。
現在の制度では、子どもごとの支援時間が基準になります。同じ時刻まで預かっていても、その子の計画上の支援時間をどれだけ超えたかで判断します。送迎に要した時間は延長支援時間に含められないため、車が戻った時刻ではなく支援を終えた時刻で数えましょう。
基本報酬の時間区分との関係
基本報酬の時間区分は3段階です。30分以上1時間30分以下が時間区分1、1時間30分超3時間以下が時間区分2、3時間超5時間以下が時間区分3にあたります。放課後等デイサービスで時間区分3を算定できるのは学校休業日に限られ、授業のある平日は時間区分2が上限になります。
*延長支援加算が始まる基準は「最長の時間区分に対応した時間」です。*平日であれば3時間、学校休業日であれば5時間を超えた時間が延長支援時間となります。児童発達支援は平日と休業日を問わず5時間が基準になるため、両方のサービスを提供している事業所は、この違いに注意しましょう。
定員10人以下の事業所では、平日の時間区分2が609単位、学校休業日の時間区分3が666単位です。延長支援加算はこの基本報酬に上乗せして算定します。
関連記事:放課後等デイサービス加算一覧【2026年最新】6月臨時改定速報
令和6年度改定から続く現行ルール
延長支援加算の現在の仕組みが確定したのは、令和6年度の報酬改定です。それ以前は、延長1時間未満61単位・1時間以上2時間未満92単位・2時間以上123単位の3の区分があり、営業時間の前後に提供した支援時間をもとに算定していました。
この改定では単位数自体は変わらず、算定の考え方と要件だけが変更されています。それまで重症心身障がい児だけだった高単位区分に、医療的ケア児も加わりました。1時間未満の区分は基本の区分から外れ、実際の延長が計画を下回った場合の特例扱いに変更されました。
*令和8年度(2026年度)の報酬改定でも、延長支援加算の単位数と要件に変更はありません。*ただし、令和8年6月1日以降に新規で事業所指定を受けた場合、基本報酬は所定単位数の1000分の982に引き下げられます。延長支援加算は、この引き下げの対象には含まれません。
放課後等デイサービスの延長支援加算の単位数
延長支援加算の単位数は、延長支援時間の長さと利用児の障がい種別によって変わります。就学している子どもと、重症心身障がい児・医療的ケア児では単位数に約2倍の差があるため、請求前にどの区分に当てはまるのかを間違えないよう注意が必要です。
就学児の延長支援時間別の区分
就学している子どもの延長支援加算は、延長支援時間が1時間以上2時間未満であれば1日92単位、2時間以上であれば1日123単位です。基本報酬とは別に、延長した日ごとに算定します。
| 延長支援時間 | 就学児 | 重症心身障がい児・医療的ケア児 |
|---|---|---|
| 1時間以上2時間未満 | 92単位 | 192単位 |
| 2時間以上 | 123単位 | 256単位 |
| 30分以上1時間未満(特例) | 61単位 | 128単位 |
区分の判定は、実際にかかった延長支援時間で決まります。ただし、通所支援計画に定めた延長支援時間を超えて支援した場合は、計画上の時間で判定される点に注意が必要です。
*たとえば、計画には1時間延長と書かれている子どもを2時間預かったとしても、算定できるのは92単位までです。*計画を超えた分は算定対象外となるため、こうした状態が続くようであれば、計画自体を見直す必要があります。
重症心身障がい児・医療的ケア児の区分
主として重症心身障がい児を受け入れる事業所でなくても、重症心身障がい児や医療的ケア児を受け入れていれば、より高い単位数で算定できます。1時間以上2時間未満が192単位、2時間以上が256単位で、就学児のおよそ2倍です。
令和6年度の改定により、この区分の対象に医療的ケア児が加わりました。それ以前は重症心身障がい児のみが対象だったため、医療的ケア児を受け入れている事業所は区分の取り違えに注意しましょう。
医療的ケア児に延長支援を実施する場合は、延長時間帯には看護職員を1人以上配置する必要があります。ただし、その時間帯の対象児がたんの吸引などに限られる場合は、認定特定行為業務従事者でも条件を満たせます。該当する職員を配置できない時間帯には延長支援自体を組めないため、事前にシフトを確認しておきましょう。
延長が1時間未満になった場合の特例
30分以上1時間未満の区分(就学児61単位・重症心身障がい児と医療的ケア児128単位)は、常に使えるわけではありません。子ども本人または保護者の事情により、実際の延長支援時間が計画より短くなった場合に限り算定できます。
たとえば、1時間の延長を予定していた子どもの迎えが40分になった場合は、この特例が使えます。30分未満で終わった日は対象外です。事業所側の都合で延長を早めに切り上げた場合も、この特例の対象になりません。
この区分を通常の3区分の1つとして紹介している資料も見られますが、指定放課後等デイサービス事業所においては、あくまでも特例扱いです。共生型・基準該当の事業所では1時間未満が基本の区分です。主として重症心身障がい児を通わせる事業所でも、重症心身障がい児への延長支援は1時間未満が基本の区分となります。
放課後等デイサービスの延長支援加算の算定要件
延長支援加算を算定するには、支援時間・延長時間・職員配置・営業時間の4つを軸に、いくつかの条件が定められています。いずれか1つでも満たしていなければ算定できないため、延長対応を始める前に自分の事業所の体制と照らし合わせておきましょう。
ここでは、中心となる4つの要件を順番に確認していきます。
支援時間が最長の時間区分を超えること
延長支援加算は、あくまでも基本報酬への上乗せです。基本報酬を算定できない日は、延長支援加算も算定できません。平日であれば3時間、学校休業日であれば5時間の発達支援を提供したうえで、その前後に延長支援を実施した日が算定対象です。
子どもの都合で支援時間が計画より短くなった場合は、基本報酬を計画時間で算定できるため、延長支援加算も同時に請求可能です。事業所の都合で短くなった場合は、実際にかかった時間で算定するため、3時間や5時間に届かなければ延長支援加算も請求できません。
平日と学校休業日とで基準時間が異なる点も、見落としやすいポイントです。夏休みに平日と同じ感覚で3時間を基準にしてしまうと、本来は延長にあたらない時間まで請求してしまう恐れがあります。カレンダーに応じた扱いの違いを、職員間であらかじめ共有しておきましょう。
延長支援時間を1時間以上で設定すること
支援の前後どちらにも延長を組む場合は、延長支援時間を前後それぞれで1時間以上に設定する必要があります。前後を合算して1時間では要件を満たしません。
支援前に30分、支援後に40分と設定した日は、合計が70分でも算定の対象になりません。前に1時間、後に1時間と、それぞれ独立して1時間以上を確保する組み方が求められます。
この1時間以上の設定は、体制を整えて計画的に実施するための前提です。実際に要した時間が計画を下回った日は、その日の実時間で判定します。計画そのものを30分や45分で組むと、要件を満たさない請求になります。
送迎の時間は延長支援時間に含みません。18時まで預かって18時30分に送り届けた場合、数えるのは18時までです。
延長時間帯に児童数に応じて職員を置くこと
延長支援の時間帯には、安全確保のために職員を配置します。*延長支援時間の障がい児の人数が10人以下なら2人以上、10人を超える場合は2人を基本とし、10人を超えるごとに1人を加えた人数が必要です。*たとえば、延長支援を受ける子が23人いる日は、4人の配置が求められます。
配置する職員のうち1人以上は、指定通所支援基準により置くべき従業者でなければなりません。児童発達支援管理責任者を数に含めても差し支えありません。
「2人以上」だけを覚えていると、利用が集中する長期休業中に人数が足りなくなります。夏休みや冬休みは延長の申し込みが増えるため、日ごとの延長人数を先に把握してシフトを組みましょう。
医療的ケア児が含まれる日は、2人以上の配置のうち1人以上を看護職員等にします。
関連記事:放デイの人員配置|2026年最新版の必要職種・人数・資格を解説
運営規程の営業時間が6時間以上であること
運営規程に定める営業時間が6時間以上であるかどうかも要件の1つです。送迎のみを実施する時間は含めません。
*国が示した改定事項の概要では、この要件に「放デイ平日は除く」と注記されています。*詳細を定めた留意事項通知には放課後等デイサービス向けの読替え規定がないため、学校休業日を基準に6時間以上を確保しておくと安全です。
主として重症心身障がい児を通わせる事業所が重症心身障がい児に延長支援を実施する日は、営業時間が8時間以上の旧要件が続きます。
ここまでの要件は、次のとおりです。
- 支援時間が最長の時間区分を超える
- 延長支援時間が前後それぞれ1時間以上
- 延長時間帯に児童数に応じた職員配置
- 運営規程の営業時間が6時間以上
このほか通所支援計画への位置づけ・保護者の同意・延長支援時間の記録も要件です。
延長支援加算の算定額を計算する方法
単位数がわかれば、実際の収入額を計算できます。障がい児通所支援の報酬は「単位数×地域単価」で求め、地域単価は事業所の所在地の級地区分で変わります。
ここでは、1日あたりの計算方法と定員10名の事業所を想定した1か月の試算を見ていきましょう。
単位数に地域単価をかけて算出する
報酬額は、算定した単位数に所在地の地域単価を掛けて求めます。1単位10.00円で計算できるのは「その他」の地域で、級地が上がるほど単価は高くなります。
放課後等デイサービスの地域単価は、次のとおりです。
| 級地 | 1単位あたりの単価 |
|---|---|
| 1級地 | 11.20円 |
| 2級地 | 10.96円 |
| 3級地 | 10.90円 |
| 4級地 | 10.72円 |
| 5級地 | 10.60円 |
| 6級地 | 10.36円 |
| 7級地 | 10.18円 |
| その他 | 10.00円 |
*たとえば、3級地の事業所が1時間30分の延長支援を1日実施した場合、92単位×10.90円で1,002円です。*同じ支援でも「その他」の地域なら920円になります。
主として重症心身障がい児を通わせる事業所は区分が異なり、単価も別建てです。自事業所の級地は指定権者の公表資料で調べられます。
定員10名の事業所で1か月の増収を試算する
定員10名の事業所で、平日に4人が1時間30分の延長支援を利用する月を想定します。延長支援加算92単位を1人1日あたりで算定でき、平日20日で計算すると92単位×4人×20日で7,360単位です。
地域単価10.00円の地域なら、月73,600円の増収になります。3級地なら80,224円です。学校休業日に2時間以上の延長が加われば、123単位の区分でさらに上積みできます。
延長支援加算を算定した利用者数は、厚生労働省の令和7年度の検証調査で平日平均4.0人・学校休業日平均4.2人でした。今回の試算はこの平均に近い水準で、極端に多い前提ではありません。
なお、この試算は延長支援を平日すべてで実施できた場合の数字です。週によって延長の申し込みが変わる事業所では、直近の実績人数に置き換えて計算し直しましょう。
延長支援加算を通所支援計画に位置づける書き方
延長支援加算は、通所支援計画に延長支援を位置づけていないと算定できません。運営指導でも、延長支援が計画に位置づけられていない点は指摘事項として挙げられています。
ここでは、延長支援を通所支援計画へ位置づける際の記載内容と、保護者から同意を得る際の進め方について解説します。
延長支援が必要な理由を記載する
通所支援計画では、別表を使って曜日ごとに提供時間と延長支援時間を定めます。別表には【提供時間】【支援前の延長支援時間】【支援後の延長支援時間】【延長を必要とする理由及び時間】【特記事項】の欄があり、理由まで記載する様式です。
*理由の欄には、保護者の就労・妊娠や出産・病気や負傷・介護や看護・レスパイトなど、延長支援が必要な事情と時間を記入します。*国が示した記入例では、月・水・金に保護者の就労を理由として支援前と支援後へそれぞれ1時間ずつの延長支援を組む書き方を挙げています。
常時の延長ではなく、個別の事情で必要になる日もあるでしょう。保護者の職場が繁忙期に入る3月だけ支援後の延長が2時間になる、といった想定も理由と時間を添えて書いておきましょう。
保護者から事前に同意を得る
延長支援は、あらかじめ保護者に説明して同意を得たうえで計画に位置づけます。計画時間の同意とは別に、延長支援の必要性を確認し、延長支援時間についても同意を得る手順が必要です。
同意を口頭で済ませると、運営指導で確認を求められたときに示す資料が残りません。計画書への署名に加えて、説明した日付・説明者・説明内容も記録に残します。
*計画にない日に急な預かりニーズが生じた場合も、延長支援加算を算定できます。*ただし、急に延長支援が必要になった理由と延長支援時間を記録に残す対応が前提です。こうした状況が続くようなら、通所支援計画そのものを見直します。
計画の変更にも保護者の同意が必要です。延長の曜日や時間が固定化してきた段階で、変更内容を説明して同意を得ておきましょう。
延長支援加算の体制届を提出する手順
算定要件を満たし、計画にも位置づけたら、最後に体制届を提出します。届出前の期間は算定できないため、提出のタイミングから算定開始月を逆算して準備します。
ここでは、体制届の提出先と必要書類、算定開始月から逆算した提出期限について解説します。
指定権者へ提出する書類をそろえる
体制届は、体制等に関する届出書(様式第5号)と体制等状況一覧表(様式第5号別紙1)が基本です。一覧表の該当欄に延長支援加算の体制を記載したうえで、指定権者へ提出する流れです。
自治体によっては、延長支援加算の専用様式を用意している場合があります。たとえば、沖縄県では延長支援加算に関する届出書が別紙として設けられています。提出前に指定権者のホームページで様式の一覧を確認しましょう。
提出方法は窓口・郵送・電子申請と自治体で分かれます。準備する書類は、次のとおりです。
- 体制等に関する届出書
- 体制等状況一覧表
- 自治体が定める加算の届出書
- 運営規程(変更した場合)
営業時間を延ばすために運営規程を変更した場合は、変更届もあわせて必要です。
提出期限から算定開始月を逆算する
体制届は、算定を始めたい月の前月15日までに提出するのが一般的な取り扱いです。15日までに届出をすれば翌月から、16日以降になれば翌々月からの算定開始になります。
10月から算定を始めたいなら、提出期限は9月15日です。9月16日の提出なら、算定できるのは11月分になります。15日が土日や祝日にあたる場合は、直前の開庁日が期限になる自治体もあるため、余裕をもって準備しましょう。
前月15日を境にする取り扱いは、多くの指定権者に共通するルールです。一例として、神戸市も15日までの届出は翌月から、16日以降は翌々月からと案内しています。ただし、閉庁日の繰り上げなど締切日の運用は自治体で異なるため、指定権者の案内で確かめましょう。
延長支援加算の返還を防ぐ記録の残し方
算定要件を満たしていても、記録が伴っていなければ運営指導で指摘を受けます。加算の算定要件を満たさない請求は、報酬の返還を求められる対象です。
延長支援加算で押さえるべき記録は、サービス提供実績記録票への記載と、通所支援計画との突合の2つです。
ここでは、サービス提供実績記録票への記載方法と、通所支援計画とのずれを防ぐための点検項目について解説します。
実績記録票に延長支援の時間を記載する
令和6年度の改定で、サービス提供実績記録票に【延長支援加算】欄が追加されました。この欄には算定する区分に応じた数字を記入します。30分以上1時間未満なら「1」、1時間以上2時間未満なら「2」、2時間以上なら「3」です。
開始時間と終了時間の欄には、基本報酬と延長支援加算の両方を含めた実利用時間を書きます。算定時間の欄は請求する時間区分と一致させ、原則として基本報酬の計画時間を記入する扱いです。実利用時間と算定時間が別の欄である点を取り違えると、記録票と請求内容がずれます。
*記録票への記載に加えて、支援記録にも延長支援の開始時刻と終了時刻、その時間帯に配置した職員名を残しておきましょう。*誰が見ても要件を満たしていたと確認できる状態が、指摘を防ぐ備えになるでしょう。
通所支援計画と実績のずれを点検する
運営指導で見られるのは、通所支援計画に位置づけた延長支援と、実際の記録が一致しているかどうかです。計画に定めた時間より実際の延長が短い日に、計画どおりの区分で請求していると返還の対象になります。
点検したい項目は、次のとおりです。
- 計画の別表に延長の記載があるか
- 実績記録票の区分と実時間が合うか
- 計画外の延長に理由の記録があるか
- 保護者の同意日が延長支援の開始日より前か
月次の請求前にこの4点を並べて確認すると、ずれを月内に修正できます。計画時間と実利用時間の乖離が続いている利用児は、点検結果を残したうえで計画の変更手続きに入りましょう。
関連記事:障がい者グループホームの記録文例|実地指導で指摘されない書き方とは
延長支援加算は採算に合うのか
延長支援に対応すると加算収入は増えますが、延長時間帯には2人以上の職員を置く必要があります。増える収入と増える人件費のどちらが大きいのかは、事業所の延長人数と職員の雇用形態で変わります。
ここでは、延長支援によって増える収入の目安と、それに対応するために必要な人件費の目安を比較しながら見ていきましょう。
延長対応で増える月間収入の目安
先ほどの試算では、平日に4人が1時間30分の延長支援を利用すると月73,600円(地域単価10.00円)の増収でした。延長人数が2人なら36,800円、6人なら110,400円と、収入は延長を利用する人数にほぼ比例します。
加算は延長を実施した日ごとの算定です。申し込みが減った月はそのまま収入も減るため、月ごとの振れ幅を見込んでおく必要があります。
放課後等デイサービス全体の収支差率は、令和6年度決算で9.1%でした。厚生労働省とこども家庭庁の令和7年経営概況調査による数字で、前年度の7.9%から1.2ポイント改善しています。
職員2人体制にかかる人件費の目安
延長時間帯に必要な職員は、延長支援を受ける障がい児が10人以下なら2人以上です。うち1人は指定基準で置くべき従業者を充てられるため、新たに手当てするのは実質1人分の勤務時間になります。
平日20日に1日1時間30分の延長を実施するなら、追加で必要な勤務は月30時間分です。自事業所の時給水準を掛けて、先ほどの月73,600円と並べれば収支を判断できます。
放課後等デイサービスの収入に対する給与費の割合は、令和6年度決算で64.4%でした。令和7年経営概況調査による数字で、収入の3分の2近くを人件費が占めています。
*延長人数が2〜3人の日が続くなら、収入が人件費を下回る月も出てきます。*曜日を絞って延長を受け付ける運用も、現実的な選択になるでしょう。
関連記事:放課後等デイサービス経営者の年収
放課後等デイサービスの延長支援加算でよくある質問
延長支援加算は、計画どおりに進まなかった日の扱いで判断に迷う場面が出てきます。営業時間との関係や、前後に分けて延長した場合の区分も質問の多い論点です。
最後に、請求前に確認したい3つの疑問を整理します。
営業時間外に延長しても算定できる?
*運営規程に定める営業時間を過ぎてから延長支援を実施した場合でも、延長支援加算は算定できます。*延長支援加算が見るのは利用児ごとの支援時間であり、営業時間の内か外かで可否が分かれる仕組みではありません。
学校休業日に9時から16時が営業時間の事業所で、8時から9時までの1時間を延長支援にあてた場合も算定できます。ただし、運営規程の営業時間が6時間以上である要件は別に満たす前提です。
営業時間を恒常的に超えて支援している状態が続くようなら、運営規程の営業時間そのものを改めます。実態と運営規程が食い違っていると、別の指摘につながるでしょう。
支援の前後に1時間ずつ延長したらどう算定する?
支援の前に1時間、後に1時間の延長支援を実施した日は、合計した2時間以上の区分で算定します。前の1時間で92単位、後の1時間で92単位と両方を算定する扱いにはならず、2時間以上の123単位を1回算定する形です。
ただし、前後それぞれで1時間以上の計画が必要です。前に30分、後に1時間30分の組み方では、合計が2時間でも要件を満たしません。
なお、前後それぞれ1時間以上で計画した日に利用児や保護者の都合で片方が1時間未満になったときは、実際の延長を合計して30分以上あれば合計時間の区分で算定できます。
前後で分けて2回算定できると考えていると、過大請求になります。請求ソフトの入力欄が前後で分かれている場合は、合算後の区分で入力しているかを確かめましょう。
利用者都合で早退したら算定できる?
早退した日の扱いは、基本報酬の算定可否で2つに分かれます。利用児の都合で支援時間が計画より短くなった場合は基本報酬を計画時間で算定できるため、延長支援加算も算定できます。
一方、延長支援だけを受けて帰宅し、基本報酬の支援時間に届かない日は算定できません。この場合は欠席時対応加算の対象です。ただし、欠席時対応加算の算定には、ご家族との連絡調整や相談援助を実施し、その内容を記録する必要があります。
延長支援時間そのものが1時間未満になった日は、30分以上あれば特例の区分で算定します。
*基本報酬を算定できる支援を受けたうえでの早退は欠席時対応加算の対象外で、サービス提供時間に応じた基本報酬を算定する扱いです。*どの時点で帰宅したかで判断が変わるため、記録に帰宅時刻を残しておきましょう。
関連記事:欠席時対応加算の記録例と算定条件|令和6年度の改定やNG例も解説
放課後等デイサービスの延長支援加算について解説しました
放課後等デイサービスの延長支援加算は、平日3時間・学校休業日5時間の支援時間を超えた延長を評価する加算です。就学児は1時間以上2時間未満で92単位、2時間以上で123単位を1日あたり算定できます。
算定には、延長支援時間を前後それぞれ1時間以上で計画に位置づけ、延長時間帯に児童数に応じた職員を置く体制が必要です。まずは運営規程の営業時間と延長人数を確認し、体制届を前月15日までに提出できるスケジュールを引きましょう。
そのうえで、実績記録票と通所支援計画のずれを月次で点検すると、返還につながる請求を防げます。要件の判断や記録の整え方に不安が残る場合は『S-STEP』へご相談いただければ、体制づくりから請求の点検までサポートします。
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参考サイト
- 児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準|厚生労働省
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の実施上の留意事項について(令和8年改正後全文)|こども家庭庁
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について|こども家庭庁
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について|こども家庭庁
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要について|こども家庭庁
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A(VOL.3)|こども家庭庁
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける個別支援計画の取扱いの変更について|こども家庭庁
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害児関係)|こども家庭庁
- 個別支援計画別表の記入例|福島県
- 障害児通所支援に係る地域区分及び1単位単価(令和6年度から)|千葉県
- 基本報酬、延長支援加算、サービス提供実績記録票の取扱いについて|名古屋市
- 障害福祉サービス事業・障害児支援事業等の体制届(加算届)|神戸市
- 令和7年度指定障害福祉サービス事業者等集団指導(障害児通所支援事業所等)|船橋市
- 実地検査における主な指摘事項と行政処分について|東京都
- 放課後等デイサービス提供実績記録票の記載例|札幌市
- 障害児通所支援事業所等の基本報酬・加算の届出|沖縄県
- 障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果(令和7年度調査)|厚生労働省
- 令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果の概要|厚生労働省