「サービス管理責任者の資格を取りたいけれど最短で何年かかるの?」「自分はどのルートに該当するの?」とお悩みではないですか?
本記事では、サービス管理責任者(以下「サビ管」)の最短ルートを経歴別に解説し、実務経験としてカウントできる業務、研修の受講手順、よくある質問についてお伝えします。
この記事を読めば、あなたの現状から最短でサビ管資格を取得するためのロードマップが明確になり、迷わず行動を始められるようになります。
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サビ管の最短ルートは?経歴別に解説
サビ管になるための道のりは、保有資格や実務経験によって大きく変わります。令和5年7月の制度改正により、以前より短い期間で資格取得を目指せるようになりました。
あなたがどのルートに該当するのか確認し、具体的な計画を立てていきましょう。
【令和5年7月】OJT期間が2年から6か月に短縮
令和5年7月の制度改正により、基礎研修修了後のOJT期間が2年から6か月へと大幅に短縮されました。以前は基礎研修を受けたあと、さらに2年間の実務経験を積まなければ実践研修を受講できない状況でした。
6か月のOJT期間で実践研修の受講が可能になる条件は3つあります。
- 基礎研修受講開始時に実務経験要件を満たしていること
- 個別支援計画の原案作成業務に6か月以上従事すること
- 上記業務に従事することについて指定権者に届出を行うこと
短縮されたOJT期間を活用すれば、実務経験要件を満たした時点から最短6か月で実践研修まで進めます。長い待機期間がなくなり、キャリアアップの計画が立てやすくなりました。
参考:長野県『サービス管理責任者等に関する告示の改正について』
国家資格保有者の最短ルート
社会福祉士や介護福祉士などの介護系国家資格を保有している場合、初期実務経験は3年で済みます。このルートが、サビ管資格を取得できる最短ルートです。
3年間の実務経験を積んだ時点で基礎研修を受講でき、基礎研修修了後は個別支援計画の作成業務に6か月以上従事し、実践研修へと進む流れになります。
トータルで3年6か月という最短ルートでサビ管資格の取得が可能です。高齢者介護のみの経験では障がい福祉の実務経験として認められないケースがあるため、実務経験証明書を確実に準備しておきましょう。
有資格者の最短ルート
介護職員初任者研修(旧訪問介護員2級)などの任用資格や研修修了資格を保有している場合、初期実務経験は5年必要です。有資格者ルートは、資格取得のハードルが低く、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえるでしょう。
介護職員初任者研修は最短1か月程度、費用も約5万円から10万円ほどで修了できます。事業所が未経験者を育成する際に、効率的なルートです。
5年間の実務経験を満たし基礎研修を修了したあと、個別支援計画作成業務のOJTを6か月以上実施します。トータルで5年6か月という期間でサビ管資格取得を目指せます。
無資格者の最短ルート
特定の資格を保有していない場合、初期実務経験は8年必要になります。新カリキュラム移行時に直接支援業務の実務要件が10年から8年へ緩和されました。
8年間の実務経験には、障がい福祉事業だけでなく老人福祉施設や介護老人保健施設での経験も算定対象です。基礎研修は実務経験の6年目以降に前倒しで受講できますが、OJT期間を6か月に短縮するには8年の実務経験をすべて満たしている必要があります。
実務経験8年を満たし基礎研修修了後、6か月以上の個別支援計画作成業務に従事する流れになります。トータルで8年6か月という期間でサビ管資格の取得が可能です。
参考:厚生労働省『サービス管理責任者等研修制度について』
保育士資格保有者の特例ルート
保育士資格は国家資格ですが、サビ管の実務経験要件では5年の実務経験が必要とされます。
保育士資格に基づき5年間の実務経験を積んだあと、基礎研修が受講可能です。基礎研修修了後は6か月以上の個別支援計画作成業務に従事し、実践研修へと進む流れになります。
トータルで5年6か月という期間でサビ管資格取得を目指せます。児童分野での経験を活かしながら、障がい福祉分野でのキャリアアップが実現できるルートです。
実務経験としてカウントできる業務
上記のようにサビ管の資格取得には、保有資格や業務内容に応じて最低3年から最大8年の実務経験が必要です。実務経験の種類や対象となる施設を正しく理解しておかなければ、計算ミスで資格取得が遅れるリスクがあります。
あなたの経験がどの業務に該当するのか明確にし、確実に要件を満たしていきましょう。実務経験証明書の準備も含めて、計画的に進めていくことが大切です。
相談支援業務と直接支援業務の違い
サビ管の実務経験は、直接支援業務と相談支援業務の2種類に分類されます。どちらの業務に従事してきたかによって、必要な実務経験年数が変わるしくみです。
直接支援業務とは、障がいをもつ方や高齢者の身の回りのお世話や職業訓練を行う業務を指します。入浴、排せつ、食事などの介護、日常生活における基本的な動作の指導、生活能力の向上のために必要な訓練などが含まれます。
相談支援業務とは、障がい者や高齢者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言や指導を行う業務です。環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある方の相談に応じ、助言、指導、その他の支援を行う業務が該当します。
対象となる職種と必要な実務経験
実務経験としてカウントできる職種は、必要な実務経験年数によって分類されます。国家資格者、有資格者、無資格者のそれぞれで対象範囲が異なる点に注意が必要です。
3年ルートに該当するのは、医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの国家資格保有者です。相談支援業務と直接支援業務の両方において3年以上の実務経験が求められます。
5年ルートに該当するのは、社会福祉主事任用資格、介護職員初任者研修修了者、保育士、児童指導員任用資格者などです。相談支援業務では5年以上の経験が必要ですが、直接支援業務では実務経験の短縮対象外となり8年必要になります。
8年ルートは特定の資格を保有していない場合で、直接支援業務では8年以上、相談支援業務では5年以上の実務経験が必要です。
相談支援業務として認められる施設には、地域生活支援事業、児童相談所、福祉事務所、障がい者支援施設、地域包括支援センター、障がい者就業・生活支援センターなどがあります。
高齢者支援の経験も含められますが、原則として通算3年以上は障がい者支援の実務経験でなければなりません。国家資格者の場合、実務経験のすべてを障がい者支援で積む必要があります。
実務経験年数の正しい計算方法
実務経験年数を計算する際には、年数だけでなく日数もベースにして数える必要があります。期間だけを見て判断すると、実際には要件を満たしていないケースが発生するため注意しましょう。
1年以上の実務経験とは、業務に従事した期間が1年以上であり、かつ実際に業務に従事した日数が1年あたり180日以上であることを意味します。5年以上の実務経験が必要な場合、業務に従事した期間が5年以上であることに加えて、実際に業務に従事した日数は900日以上(180日×5年)必要です。
実務経験は現在働いている職場だけでなく、過去に働いた分も合わせて計算できます。転職して職場が変わっている人でも、過去に所定の業務に従事していた分も含めて要件を満たせます。
都道府県によって実務経験の内容や対象となる事業が異なる場合もあるため、計算する前に自治体のホームページ等で確認しておきましょう。
実務経験証明書の取得方法
実務経験証明書は、サビ管に就任するために必要不可欠な書類です。国家資格を保有している場合であっても、実務経験を証明するために確実に揃えておく必要があります。
実務経験証明書は過去働いていた会社に連絡を取って証明を受けなければなりません。過去の職場との関係性は良好を保つ意識をもっておくと、スムーズに証明書を取得できます。
経験者の中途採用を検討する際、証明書に記載された支援内容に高齢者介護のみが記されている場合があります。障がいのサビ管の経験者として見なされないリスクがあるため、証明内容をしっかり確認しましょう。
実務経験の計算は、勤務した期間だけでなく勤務した日数という具体的な数字で管理されます。過去の勤務記録を正確に確認し、サビ管への最短ルートを確保していきましょう。
サービス管理責任者等研修の受講手順
サビ管になるためには、実務経験を積むだけでなく、研修の修了も必要です。基礎研修と実践研修という2つの研修を段階的に受講し、資格を取得する流れになります。
研修の受講タイミングやOJT期間の要件を正しく理解しておかなければ、計画どおりに進められない恐れがあります。更新研修も含めて、各ステップの詳細を確認していきましょう。
実務経験を確保する
サビ管になるためには、実務経験と研修の修了という2つの要件をクリアする必要があります。必要な実務経験年数は、保有資格や就業場所、業務内容によって最低3年、最大8年と定められています。
実務経験は相談支援業務または直接支援業務に分類され、過去に働いた分も含めて合算できます。業務に従事した期間が1年以上であり、かつ実際に業務に従事した日数が1年あたり180日以上であることが要件です。
国家資格者は3年の実務経験で済みますが、通算3年以上は障がい者支援の実務経験が求められます。相談支援業務に従事していた無資格者または有資格者は5年、直接支援業務に従事していた無資格者は8年の実務経験が必要です。
基礎研修を受講する
必要な実務経験年数を満たしたうえで、まずサービス管理責任者基礎研修を受講します。基礎研修は必要な実務経験年数を満たす2年前倒しで受講できるため、計画的に進められるでしょう。
基礎研修の合計時間は15時間で、相談支援従事者初任者研修講義部分の11時間が加わり、計26時間相当です。基礎研修を修了した時点で、2人目のサビ管として事業所に配置でき、個別支援計画の原案の作成が可能になります。
基礎研修修了後は、実践研修を受講するためにOJT期間として実務経験を積む必要があります。OJT期間の長さは要件を満たしているかどうかで変わるため、あなたの状況を確認しておきましょう。
OJT期間を履行する
基礎研修修了後、実践研修を受講するためにはOJTとして実務経験を積む必要があります。原則のOJT期間は2年間ですが、一定の要件を満たせば6か月に短縮できます。
6か月に短縮される要件は、基礎研修受講開始時に実務経験要件を満たしていることです。障がい福祉サービス事業所等において6か月以上、個別支援計画の作成業務に従事し、指定権者に届出を行う必要があります。
前提条件として、6か月以上で個別支援計画書原案作成を10件以上行うことが求められます。
実践研修を受講する
OJT期間を履行した後、実践研修を受講します。実践研修を修了することでサビ管資格取得となり、正規のサビ管として配置要件を満たせます。
1人目のサビ管として配置されるためには、実践研修の受講が必須です。実践研修の合計時間は14.5時間で、講義と演習で構成されています。
実践研修には定員が定められているため、申し込み時に受講の必要性をアピールする工夫が求められます。備考欄に具体的な理由を記載し、サビ管が不在になっている状況などを伝えると効果的です。
更新研修を5年ごとに受講する
サビ管として配置された後も、一定期間ごとに知識や技術の更新を図る必要があります。実践研修修了年度の翌年度から5年間ごとに更新研修を修了しなければなりません。
更新研修の合計時間は13時間で、講義と演習で構成されています。更新研修を受け忘れると、サビ管資格が失効するリスクがあるため注意が必要です。
資格を維持し続けるためには、5年ごとの更新研修を計画的に受講しなければなりません。キャリアを守るためにも、更新時期を把握しておきましょう。
よくある質問
サビ管の資格取得を目指す際、多くの方が疑問に感じるポイントがあります。ここからは「働きながら最短で取得できるのか」「児童発達支援管理責任者との違いは何か」といった、よくある質問に答えていきます。
不安や疑問を解消し、自信をもって資格取得に向けて進んでいきましょう。
働きながらでも最短で取得できますか?
サビ管の資格取得は、実務経験と研修の要件を組み合わせることで成立しており、働きながらでも最短ルートで取得できます。最短で取得できる期間は、必要な実務経験年数とOJT期間の長さによって決まるしくみです。
国家資格者が相談支援業務または直接支援業務に3年以上従事した場合、最短ルートが適用されます。実務経験は過去に働いた分も合わせて計算でき、業務に従事した日数が1年あたり180日以上であることが要件です。
基礎研修受講開始時に実務経験要件を満たしていれば、OJT期間が6か月に短縮されます。個別支援計画書原案作成を10件以上行い、指定権者に届出を行うことで、働きながら最短でサビ管資格を取得できます。
児童発達支援管理責任者との違いは何ですか?
サビ管と児童発達支援管理責任者(児発管)は、研修制度の体系が統一されていますが、配置される分野が異なります。サビ管は主に障がい者向けのサービスに、児発管は主に障がい児向けのサービスに配置される違いです。
令和元年度からサービス管理責任者等研修制度として統一され、分野を超えた連携を図るための共通基盤が構築されました。研修は基礎研修(26時間相当)、実践研修(14.5時間)、更新研修(13時間)の3段階で構成され、カリキュラムも共通化されています。
各分野で必要な知識や技術については専門コース別研修を新たに創設して補完する予定です。実務経験要件はそれぞれに定められており、配置先のサービス対象が異なる点を理解しておきましょう。
参考:厚生労働省『サービス管理責任者等研修制度について』
【まとめ】サビ管の最短ルートを解説しました
サビ管資格の最短ルートは、保有資格によって3年6か月から8年6か月と大きく異なります。令和5年7月の制度改正によりOJT期間が6か月に短縮され、以前より早くキャリアアップを実現できるようになりました。
まずはあなたの保有資格と実務経験を正確に把握し、どのルートに該当するのか確認しましょう。
計画的に資格取得を進めることで、サビ管としての専門性を高め、給与アップや管理職としての働き方を実現できます。障がい福祉業界で長期的に安定したキャリアを築くために、最短ルートを活用して確実に資格取得を目指していきましょう。
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